VTuberなどの活動のために男性が美少女のアバターをまとう、通称「バ美肉(※バーチャル美少女受肉)」。より可愛さや美しさを追求する人の中には、外見だけでなく声までも変化させたいという需要があります。
そこで登場するのがボイスチェンジャーです。ボイスチェンジャーはバ美肉のための男声→女声変換はもちろん、女声から男声へ、あるいは性別はそのまま声色だけ変化させることもできます。
本記事では、無料で利用できるソフトウェアからメーカー製のハードウェアまで、定番のボイスチェンジャーを紹介します。
バ美肉についての詳細は下記をお読みください。

「バ美肉」入門編! 方法や機材、振る舞い方を紹介【2020年版】 | Mogura VR
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目次
ボイスチェンジャーとは?
ソフトウェアボイスチェンジャー
・恋声
・バ美声
・Gachikoe! Core
・Voicemod
・ボイスチェンジャー by ユーザーローカル
・RoVee
・七声ニーナ
ハードウェアボイスチェンジャー
・VT-4 Voice Transformer
・ZOOM V6
ボイスチェンジャーとは?
ボイスチェンジャーとはその名のとおり、入力した音声を加工するソフトや機器のこと。主にピッチ(Pitch、声の高低)とフォルマント(Formant、声の性質)と呼ばれる2つの音声要素を加工することで、地声よりも高い声や低い声など、さまざまな声色に変化させることができます。
ボイスチェンジャーを使いこなす男性の中には、女性と聞き違えてしまうほど自然な高音ボイスを操っている人もいるほどです。
ボイスチェンジャーと聞くと難しそうな印象がありますが、操作が比較的簡単なものや、無料で利用できるソフトもあります。今回は7つのソフトウェアと2つのハードウェア、計9つのボイスチェンジャーについて、それぞれの価格や機能、特徴などを解説します。
ソフトウェアボイスチェンジャー
まずは無償のものも含む、ソフトウェアのボイスチェンジャーを紹介・解説します(各ソフトのバージョンは記事執筆時点のものです)。
恋声(Version 2.87)
無料ボイスチェンジャーの定番として広く愛用されているのが「恋声」。かつてはバ美肉VTuberとして知られる魔王マグロナさんや兎鞠まりさんも利用していました。本ソフトではリアルタイムでの変換のほか、WAVファイルを開いての変換も可能です。
基本的な操作はパネルの左半分を使用。他のソフトとくらべてUIがやや複雑ですが、プリセットが用意されており、「M→W」では男声から女声に、「W→M」では女声から男声にという変換ができます。
バ美声(β版 ver0.403)
低遅延で高品質、そしてより自然な女声を目指した、開発中のボイスチェンジャー。2021年5月時点ではβ版で、製品版がリリースされるまでは無償で利用可能です。BOOTHにてダウンロードでき、開発支援用として500円で購入できるバージョン(内容は同一)も用意されています。また、女声から男声に変換する「バ美声 FtoM」(β版 ver0.500)も配布中です。
導入が比較的簡単で、UIも非常にシンプル。入出力のデバイスを選択し、声の高さをバーで変更したら「Start」ボタンを押すだけで声が変換されます。フォルマント(声の性質)はピッチ(声の高低)に応じて自動で調整されるので、手間が少ないのも魅力。遅延は0.2秒ほどに抑えられています。
製品版は有償ソフトになる予定ですが、現時点で無償利用できるボイスチェンジャーの中ではトップクラスの使いやすさとクオリティの高さと言えるでしょう。

ボイスチェンジャー「バ美声」β版配布開始!カワイイ声をより手軽につくれる | Mogura VR
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開発元 |
はんそで工房 |
配布先 |
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価格 |
β版につき無料 ※製品版がリリースされるまで利用可能 |
対応OS |
Windows |
備考 |
女声から男声に変換する「バ美声 FtoM」も配布中 |
Gachikoe! Core(v0.0.3)
「Gachikoe! Core」は、桜音さち氏が現在開発中のボイスチェンジャー「Gachikoe!」 のコア機能を抽出したソフト。WindowsだけでなくMacでも使えるのも特徴で、BOOTHにて無料でダウンロード可能です。また、クリエイター支援として任意の金額を上乗せして購入する「BOOST」用に100円で購入できるバージョンも用意されています(内容は同一)。
パネルのUIはシンプルで、直感的な操作が可能。ピッチも75%から200%と幅広く調整できます。「Config」ボタンから開ける設定では、声が出ているかを判定するパラメーターや、ささやき声の判定を行うパラメーターを調節できます。判定に応じてバーの色が変わるため、視覚的にもわかりやすいのが特徴です。初心者向けの解説記事も用意されています。
なお、フル機能を搭載した「Gachikoe!」が現在開発中で、桜音さち氏のpixivFANBOXで500円以上の支援を行うと、「Gachikoe!」と「Gachikoe! Core」の開発版をダウンロード可能です。

低遅延なボイスチェンジャー「Gachikoe!」が配布開始!無料配布あり、Win/Macに対応 | Mogura VR
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Voicemod
ボイスチェンジャーとサウンドボード機能を備えたソフトウェア。ライブ配信ソフト「OBS Studio」やVRプラットフォーム「VRChat」など、さまざまなツールやゲームにも対応しているのが特徴です。海外製ですが日本語ローカライズもされています。有料版(Voicemod PRO)を購入すると80種類以上のボイスフィルターが使えるほか、自分だけのカスタムボイスの作成もできます。
無料版ではカスタムボイスは作成できず、使えるボイスフィルターも日替わりで入れ替わるため、使い続けるのであれば有料版の購入はほぼ必須。また、使用にはそれなりの処理能力があるPCも必要です。まずは自身のPC環境で快適に動作するか、自分にとって使いやすいかどうかを無料版で確認するとよいでしょう。
開発元 |
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配布先 |
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価格 |
無料プランあり |
対応OS |
Windows |
備考 |
無料プランではカスタムボイスの設定不可 |
ボイスチェンジャー by ユーザーローカル
「バーチャルYouTuberランキング」の運営などを行っているユーザーローカルが提供する、ウェブサイト上で利用できるボイスチェンジャー。PCはもちろんスマートフォンでも利用できるのが最大の特徴です。専用の機器やソフトウェアがいらないためセットアップの手間もありません。マイク入力ができる端末があればいつでもサイト上で利用可能です。
「録音」ボタンを押して声を録音したら、あとは変換パターンを選んで「変換・再生」ボタンを押すだけで音声加工ができるシンプル操作。音声ファイルをアップロードして変換も可能です。リアルタイム変換はできませんが、変換された音声データをダウンロードできるので、編集動画の音声素材として活用できます。
女声から男声、男声から女声の変換のほかに、ロボット声やかすれ声などさまざまな変換プリセットも用意されています。「ソフトをダウンロードしたり、機器を購入したりするのは面倒だけど、ひとまずボイスチェンジャーを試してみたい」という人におすすめです。
RoVee(ver 1.21)
DAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれる、PCで作曲・編曲などの音楽制作を行うためのソフトウェアに追加して利用する、無料のVSTプラグイン。プラグインなのでDAWがなければ利用できませんが、シンプルなUIで簡単に使えることから愛好者も多いです。
なお、DAWにはCakewalk(Windows)やGarageBand(Mac / iOS)など、無料のものが多数あります。
https://www.youtube.com/watch?v=CwSuO0brbq0
VOICE ACTOR 七声ニーナ
株式会社ディー・エヌ・エーが開発中の、AIを活用した「音声変換AI」のプロトタイプ。PCやスマートフォンのブラウザから利用でき、自分の声で話しかけて音声入力すると、その音声が七声ニーナ(CV:高田憂希)の声に自動変換されます。変換される声は七声ニーナだけですが、手軽に利用できるのが特徴です。
七声ニーナはトライアル公開中のプロジェクトのため、ボイスチェンジャーとして使えるようになるかは不明です。ディー・エヌ・エーの発表によれば、ゲームキャラの声でボイスチャットしたり、アバターにぴったりの声でライブ配信をしたりなどが将来実現する可能性があるとのことです。

誰の声でもキャラクターの声に変換できるサービス「VOICE AVATAR 七声ニーナ」が公開 | Mogura VR
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またVTuberの甲賀流忍者ぽんぽこ&ピーナッツくんが下記の動画で利用しています。
https://www.youtube.com/watch?v=wW9sym3IQmw
開発元 |
株式会社ディー・エヌ・エー |
公式サイト |
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価格 |
無料 |
対応OS |
PC / スマートフォン(Webブラウザ) |
備考 |
現在はトライアル公開中 |
ハードウェアボイスチェンジャー
続いてはハードウェアのボイスチェンジャーの紹介です。本記事では2つのハードウェアボイスチェンジャーを紹介します。
ソフトウェアのボイスチェンジャーとは違い、ハードウェアのボイスチェンジャーは有料製品が基本。価格も安くはありませんが、ソフトウェアのボイスチェンジャーと比べて低遅延で音声変換できるのに加え、変換処理をハード側で行うのでPC側の負担を軽減できるのが大きなメリットです。ボイスチェンジャーの使用頻度が高く、かつ予算がある人であれば十分検討の余地があるでしょう。
VT-4 Voice Transformer
ローランド株式会社が発売する、リアルタイムで声を変化させるボイスチェンジャー。本体にマイクを接続して、ピッチとフォルマントを調整して声を加工できます。エフェクトは5種類×4バリエーション、計20種類のプリセットが搭載されています。
USBでPCに接続すると、オーディオインターフェースとしても使用可能。USBでの動作のほか、単3電池4本でも駆動する手軽さも魅力です。ボイスエフェクトをボタン1つで簡単に切り替えられるので、ライブ配信中も状況に応じてロボットボイスなど音声の変更が可能です。
音楽機材の中でも比較的ボタンやつまみが少なく、シンプルでわかりやすい構成になっています。単純に女声・男声への変更だけでなく、さまざまなエフェクトを使って声を演出したい人におすすめの製品です。
VT-4は前出の魔王マグロナさんも過去に利用していました。魔王マグロナさんによる本製品の詳細なレビューはこちら。

魔王マグロナの「VT-4」徹底レビュー!本日解禁の新機能に見た”本領発揮”とは? | Mogura VR
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開発元 |
ローランド株式会社 |
製品サイト |
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価格 |
オープン価格 実売26,000円前後(税込) |
対応機器 |
PCなど(Windows / Mac OSとも対応) |
ZOOM V6
VT-4と同じくハードウェアのボイスチェンジャー。VT-4よりも価格は高めですが、マイクが付属しています(マイクケーブルは別売)。エフェクトは40種類のプリセットを搭載。もちろんユーザーオリジナル設定も可能で、プリセットと合わせて最大100種類までメモリ保存できます。
ZOOM V6の特徴は、フットペダルを使って足で操作ができること(卓上で手を使っての操作も可能)。両手がフリーになるので、例えばゲーム実況中にゲームコントローラーを操作しながら瞬時に別の声に切り替えるといったこともできます。また、PCに接続せず、ボイチェンしてカラオケを楽しみたいときなどにもフットペダルは便利です。
https://www.youtube.com/watch?v=JmjmmX44CXU
(ラランさんによる解説動画)
開発元 |
株式会社ZOOM |
製品サイト |
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価格 |
30,600円(メーカー希望小売価格、税込) |
対応機器 |
PCなど(Windows / Mac OSとも対応) |
備考 |
超指向性ボーカルマイクSGV-6同梱 ※マイクケーブルは付属なし |
過去記事

「バ美肉」したい人必見!無償・有償の定番ボイスチェンジャー5選 | Mogura VR
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執筆:桑原健太郎